太陽 ――太陽を見つめていたら灼かれしまうよ。 馬鹿だと思った。かすがが上杉に下った時、馬鹿なことをしたな、と思った。まんまと太陽にやかれて、手を伸ばしてその色に染まってしまった。それを馬鹿だと思う反面、どうしてだか解らないが、羨ましいとも思った。 ――あいつはくの一だし。 手を伸ばして届く相手だ。ならば自分はどうだろうか。この気持ちを自覚してからというもの、気が気ではない。 ――太陽は海に恋をして、近づきすぎたから、海が紅く染まる。 遠く漣を立てる水面を見つめる。今この目に映るのは越後の海でも、小田原でもなく、諏訪湖だ。諏訪の湖を夕陽が染めていく。それを膝に肘をついて眺めている。 ――ただただ、紅く染めていく。 この瞳に映る姿がいつも夕陽のように煌いているから、瞳を眇めるしか出来ない。そんな事を考えながら眼下に見える想い人の様子を窺っていった。 諏訪湖には信玄の共として訪れていた。一日其処で過ごした後、朝方に姿を現した幸村は何故か元気がなかった。早朝の山霧の中を馬に乗らずに、手綱を引いてとぼとぼと歩く。その姿が似合わなくて、佐助はひょいと彼の傍に行くと馬の上に身体を乗せた。馬も驚いて、ぶる、と嘶いた。すると幸村が微かに瞳を上げる。 「旦那ぁ、旦那は山生まれ、山育ち?」 「ああ、そうだが…――唐突だな、御主は」 ――知っておろう? 知っている。だが改めて彼から答えを訊くと、佐助は得意気になりながら幸村に言う。 「じゃあさぁ、山から朝日が昇って、海に沈むって知ってる?」 「山から登って山に沈むのしか知らぬ」 唇を尖らせて、大して興味も無いように幸村は言うが、馬の上から手を伸ばして彼の頭に手を乗せると、流石に佐助の方を見上げた。真顔になりつつある幸村に微笑みながら――手は優しく彼の頭を撫でたまま、言った。 「――旦那に見せたいんだよなぁ」 「――……?」 きょとんとして幸村が小首を傾げる。足を止める幸村に、興味が此方に向いてきたことを悟る。佐助は空かさず先を続けた。 「海」 「諏訪で事足りるであろう」 「いやいや、もっと凄いからさ。綺麗なもんだよ?俺様、いいところ知っているし」 身振り手振りを入れて見せると、ほんのりと幸村の顔色が明るくなった。先ほどまでの暗い表情とは雲泥の差だった。 「佐助は物知りだな」 「うん。この足で伊達に北から南まで駆けていないからね。小田原の海は穏やかなんだけど、あそこは北条だから…俺様、ちょっと風魔は苦手」 「ふぅん……」 再び足を進めていく。幸村の背中で、ゆらゆら、と彼の髪が揺れた。それに手を伸ばして一房を指で玩ぶ――しかし彼には気付かれては居ない。 ――するり。 指先から力を抜くと、容易く幸村の髪は彼の背に戻っていく。それを見ながら、まるで幸村自身のようだと思う。 「だからさ、越後に行ってみない?」 ――此処から近いし。 付け加える間に幸村は振り返った。表情が晴れやかだ。まだ早朝だというのに、昼日中にいるかのような、温かい表情をしている。 「佐助が連れて行ってくれるのなら、行ってみようか」 「いいねぇ、旦那。そう来なくっちゃ」 馬の上から腕を伸ばし、幸村の身体を引っ張り上げる。 「しっかり掴まっててよ、旦那ぁ」 「おうッ」 威勢の良い幸村の声が背後から返ってくる。それと同時に腰に彼の腕が絡まった。 滅多に馬には乗らないが、誘った手前自分が手綱を引くと決めた。そして佐助は強く馬の腹を蹴って行った。 ――ざざっ、ざざんッ 繰り返す波濤は強く、白い波が際立っていた。浜茄子の咲く砂浜に下りると、幸村は暫く海を前にして走り回っていた。その様子がまるで子犬のようで、思わず笑ってしまう。 靴に砂が入ったと、裸足になり、そして幸村は波間を前にして立ち止まった。 「おお…なんと雄大な…――」 「ねー、凄いでしょ」 夕陽が赤く、何処までの海を照らしていく。そらは闇を従えながら、色合いを重ねていた。その中でも一番、水平線が輝いていた。 ――ざざっ、ざぶん…ッ 岩にぶつかる波濤と、波が大きく耳に響く。 「荒々しい波だな」 「でもなんか優しい、さざめきだよね」 「――連れてきてくれたことに礼を言うぞ、佐助」 「礼はいらないよぅ。それより…――」 海を見たまま立ち尽くしている幸村の傍に行く。そしてその場にしゃがみこむと、佐助は幸村を見上げた。 「なんで落ち込んでたのか、教えて」 「――……ッ」 驚いたように幸村が佐助を見下ろしてくる。 肘で頬杖をついて、片方の口元を引き上げて笑うと、幸村の瞳が動揺で揺れた。 「俺様が気付かないはず無いでしょ?それに此処なら、武田の人間は居ないから」 ――なんでも話せるでしょ? 脱いだ靴を手に、幸村の手が拳を握りこむ。それを間近で見ていると、静かに幸村が海に背を向けた。その後に続きながら、肩越しに見た海は、太陽をこれでもかという程に飲み込んでいた。 これから戻るのも時間が掛かる。それを考慮して予め見つけていた家屋に足を踏み入れた。というよりも、ひとっ走りして貸して貰った場所でもある。不思議そうに金色の瞳を歪ませていた彼女の顔が、ぼんやりと浮かんだ。だがそれを打ち払ったのは幸村の告白だった。諏訪での出来事が彼に変化をもたらしていたのは明白だったが理由は知らない。 「――戦場にあって、身体の契りがより一層、絆を深めるというが…」 「ああ、昔っから言うね」 部屋の中は簡素だが、小奇麗にされている。二人しか居ないせいでがらんとしている室内で、ちょこんと幸村は正座していた。その傍らに、どっこいしょ、と声を出して横になるが、幸村は気にしていないようだ。 「某はお館様に呼ばれたことはない」 「――良いんじゃないの?」 ころ、と横になり、頬杖を付く。からん、と額宛を外して髪をぐしゃぐしゃとかき回しながら、幸村を見あげる。 見れば鼻の頭に汗をかいて、話しているだけで切羽詰っているのだと伺えた。 「だが、高坂殿に…その」 「人は人、旦那は旦那でしょ?」 指を伸ばして、親指で幸村の鼻の頭の汗を拭う。すると幸村は子どものように頬を膨らませた。 ――可愛いなぁ。 目の前の幸村を見て、そんな風に思う自分はどうだろうか。いつこの気持ちに気付いたかなんて思い出したくも無い。ずっと傍に居て、見て、触れていたい――そう思うだけだ。 ――大丈夫、俺様は焼かれたりしないから。 膝の上で幸村が拳をぎゅうと強く握りこむ。その手が、ふるふる、と震えてきた。 「――……」 「どうしたの?」 「某…何をどうしたらいいのか…」 匍匐前進の要領で幸村の傍ににじり寄り、震える彼の顎先に手を伸ばした。 ――びく。 触れた瞬間に幸村が真っ赤な顔で離れる。その様子を見ていて、何となく仔細が解った気がした。佐助は上体を起こし、うろたえた事に動揺する幸村の方へと膝を詰めた。 「あー…解った。心構えとかじゃなくて、ってこと?」 「こう言っては…お館様への信望薄いと思われ兼ねないが、もし某が…と思うと、こ…」 ――ごくん。 幸村の咽喉が大きく揺れる。小首を傾げながら佐助は先を促した。 「こ?」 「――怖くて」 そこまで言うと、すとん、と幸村の肩の力は抜けていった。だがそれと同時に、伏せた顔の先から、ちら、と視線だけが見上げてくる。 ――ああ、成程ね。 何となく彼の切り出してきた話に、先が読めてきていた。佐助は、ぽりぽりと頭を掻く。 「で、俺様に?」 「迷惑、だよな?」 ――忘れてくれ。 慌てて頭を下げる幸村に、少し切なくなってくる。 ――そんなにしてまで、大将のことが好きなのかねぇ。 自分にとって太陽みたいな存在の幸村、その彼にとって信玄公は唯一無二だということは重々承知している。だがいざとなると、妬けてきて仕方ない。 ――こんな機会、いつ廻ってくるかも解らない。 即座に判断した結果は簡単だった。 「いいえぇ、大歓迎」 「は?――こら、佐助ッ」 「え?なに?」 「ぬ、脱ぐとは…は、破廉恥なことを…ッ」 「同じ身体のつくりしているのに破廉恥も何も無いでしょうが」 顔を上げた幸村の目の前でばさばさと服を脱ぎ始める。だがそうすると今度は手で目元を押さえながら幸村が止めに入る。 「だって、良いんじゃないの?俺様も一応、旦那にとっては臣下だし?」 「でもそれでは佐助に…」 「どっちかというと、俺様的には『いただきます』?」 にこ、と笑いかけ、脱ぎ散らかした服を足でひとまとめにする。そして目の前にいる幸村の肩を掴むと、静かに上着を床に落とした。 ――脱ぐ?それとも脱がせて欲しい? 「――…ッッッ!!!」 耳元にさり気無く聞くと、むきになったように幸村が自分から服を脱ぎだした。その仕草に、色気が無い、と思いながらも苦笑するしかなかった。 鼻息も荒く正面に座り込んだ幸村の肩に、ゆっくりと手を触れさせる。そのまま首筋から頤にかけて撫で上げ、顔を向けさせる。 「あ…――」 「怖がらないで」 ゆら、と幸村の瞳が揺れた。此処で止められるのは勘弁して欲しい。鼻先を近づけながら、彼を安心させるように何度も頭を撫でた。 「大丈夫、俺に任せて」 引き寄せて、口付ける――その時に彼の長い髪が、指に絡んできていた。 床の上では背中が痛いだろうと思いながらも、床に幸村を横たえたまま、彼の足の間に顔を埋めていく。幸村の手が伸びてきて、頭を掴んでいるのが解るが、離す気にはなれなかった。 「さ、佐助…――ッ」 「大丈夫、ちゃんと気持ちよくさせてあげるから」 ――くちゅ、じゅ、じゅじゅ、 繰り返し口に含み、根元から舐め上げていく。強く吸い上げたり、舌先を使って舐っていく度に幸村の内腿が、びくびくと揺れた。 「ア…ッ、――……ッ」 「良い声ぇ…――もっと聴かせて」 顔を離し、指先で先の割れ目を弄る。佐助の手の中には濡れた幸村自身がある。伸びてくる幸村の手は、佐助の手を離そうと動き出す。だがそれを許さずに、ぐり、と割れ目に指先を滑り込ませた。 「さ、佐助…駄目だ。なんか、そこ…――」 「どこ?」 ――ぐちゅ、 粘着質な音が漏れ出る。浮き出た血管の上を、舌先を尖らせて滑りこませると、幸村が身体を捻じって逃げようとする。 「い…――も、っ……――」 「駄目だよ、逃がさないから」 ぐっと足を掴み込み、佐助は自分の方へと引き寄せた。幸村は顔を真っ赤にしながら、涙さえ浮かべていた。その顔を見ながら、指先で上下に扱き、舌先で先端を抉る――じわじわと広がる苦味を感じていると、引き攣れたようにびくびくと幸村の身体が揺れた。 ――あ、達く。 「あ、ああ…――ッ」 咥内に広がった精液を受け止め、一滴も残さないかのように吸い上げると、ひくり、と幸村の腹が揺れた。上下に激しく揺れる胸を見ながら、手を器の代わりにして口から精液を吐き出す。 それを思わず見てしまって、幸村が達したばかりの余韻から覚めるかのように、目を多きく引ん剥いた。追い討ちをかけるように伸び上がり、幸村に覆いかぶさる。 「結構、濃いね」 「…――ッッ」 「旦那の」 「な…なな何を――…ッ」 足を広げたままの格好で、ばしばしと佐助の胸を叩いてくる。それに笑いながら答え、手ぬぐいで手を拭いながら、顔を寄せた。 ――ぐい。 広げられていた左足を大きく持ち抱え、再び腹から手を下降させる。その合間に幸村の唇を啄ばみ、開かせると舌先を滑り込ませていった。 「――ん、んっ……ッ」 「ごめん、口、濯げば良かったかな」 ぎり、と幸村の指先が佐助の肩に突き刺さる。それを横目で見てから、唇を離すと大きく酸素を求めて呼吸を荒げていく。ぼうとしたままの幸村の頬にも口付け、上半身を彼の上に乗せると、幸村の両手が肩から首に掛かってきた。 ――旦那、可愛いなぁ。 必死にしがみ付いてくる姿に馬鹿の一つ覚えのような感想しか出ない。指先で胸の突起を弄れば、腰の辺りをもどかしそうに動かし、内腿を撫で上げれば腹に筋肉が浮くくらいに弛緩する。その全てが愛しくてたまらない。 佐助は乾いた唇を、ぺろ、と舐め上げると幸村自身の奥の、ふっくらとした陰嚢の奥に指先を滑らせた。 「ね、大丈夫?」 「いや…――だいじょう…――っぅあッ」 ゆるゆると後孔を撫でる間は良かったが、幸村の返答を訊く前に指を中にもぐりこませた。すると急に強く締め付けてくる。 ――やっぱり硬いかぁ。 「此処、もっと力抜いて」 「な、なんでそんなとこ…――」 ぶるぶる、と肩を震わせて幸村がしがみ付いてくる。佐助は自分の服を片手で漁り、中から軟膏を取り出すと再び同じ所に触れた。 ――ぬる…。 「いいから、さ。力、抜いて」 「あ、…――さ、佐助…ッ」 それでなくても先ほど吐き出したばかりで、濡れている下肢だ――其処に更に軟膏を塗りつけ、ゆるゆると動かすと彼の意思とは関係なく解れてくる。 ――ぬる、ぐちゅ、ぬ、 「は、ぁ、あ、ヤだ…――ッ」 指を入れるのも容易くなり、濡れた音だけが耳に突き刺さる。抱きかかえている身体が熱く、どちらの熱さなのか解らない。それでもしがみ付いて来る幸村が感じて居る事が嬉しくなって仕方なかった。 ――身代わり、代用、お試し…そんなものでもさ。 それでも手に入らないと眺めていた時よりは良い。佐助は自身も熱くなってきているのを感づきながら、ふ、と息を吐くと涙で濡れた幸村の眦にキスを落とした。 「大丈夫。俺を大将だと思えば良いよ…――」 「――…?」 「無理に俺だって、思わなくて良いから」 ――目を瞑っていて、良いから。 佐助の言葉に瞳を開いた幸村が何かを言いかける――だがそれを遮るように、彼の中に強く押し入ると、後は喘ぎ声しか聞こえなくなっていった。 朝靄もなく、ひんやりとしている朝が、やたらと身に突き刺さる。散々重ねた身体がぎしぎしと痛むが、眠る気にはなれなかった。後始末をしてから布団に彼を寝かせつけ、自分は深い後悔と満足感に苛まれながら、ずっと庭を見て時間を過ごしてしまった。 耳には海鳴りが聞こえてきていた。 ぐしゃ、と前髪を掻き揚げて一人ごちる。 「もうお役ごめんかなぁ…――」 ――まぁ、一度でも抱きしめられたから良いか。 太陽に近づきすぎてはいけない――それは昔誰かが言った言葉、そして自分も考え続けていた事だ。解っていたのに、手を伸ばしてしまった。 ――見てるだけ、傍にいるだけで良かった筈なんだけれど。 でも一度でも彼の温もりを知った。涙を知った。味を知った。それが、これからずっと自分を苛むだろうと気付いてしまった。 ――この気持ちは消せないからねぇ。 馬鹿だ、と自分に思う。それでもしてしまったことは取り返しがつかない。当面の問題はどんな顔をして彼と対峙すればいいかという事だ。 ――がばッ。 「佐助?」 佐助が思案している間に、上掛けを跳ね除けて幸村が跳ね起きる。それに気付いて腰を挙げて声を掛ける。 「ああ、はいはい。此処に居ますよ」 「さす…――け……――」 「うん?――何がどうしたの?」 見れば一度起きたものの、再び布団の上に撃沈したらしい姿で其処に蹲っている。励ますように背中をとんとんと撫でると、幸村は眉を下げて顔を起こした。 「佐助を、某は…利用したも同然だ」 「え…――?」 がば、ともう一度頭を下げ、そしてぎこちなく正座をする。釣られるように佐助は向い側に胡坐を掻いた。 「お館様には幼少より可愛がって貰っていた。だが、あの時、高坂殿に言われたとき…」 「うん」 「某は、厭だ、と思った」 「――…え?」 ぽと、と目から鱗が落ちたかのような気がした。幸村は拳を作るとそれで口元を覆い隠してしまう――しかも眦はほんのりと紅くなっている。 「信望するはお館様のみ。そう誓っている、のに…某は、厭だ、と」 「え、えええ?待ってよ、じゃあ、何…――?」 「某の頭には、佐助しか…――」 真っ赤になりながら、幸村が言う。寝起きざまに何を言うんだろうかとも思う。だが、正直な彼には隠し事は出来ない――それを解っているから、余計に思考が追いつかなかった。だが解るのは、一晩中佐助が悩んでいたことを、たった今幸村が打ち砕いたという事だ。 ――それってさ、所謂… 佐助は額に手を、ぺし、と当てる。その音で幸村が肩を怒らせて、真っ赤になり、涙も浮かべながら――そんな我慢大会のような表情が幼いのも可愛く見える。自然と笑いしか漏れなかった。 「あらぁ、俺様嵌められた?」 「う、ううう…――」 唸る幸村を引き寄せ、肩を抱きしめる。すると肩に幸村の、ふうふう、という呼吸が触れて熱かった。 「旦那、俺のこと好きなの?」 「そう言ってるであろうッッ」 「あは…――そんなにムキにならないで」 ――何処もかしこも熱いよ。 抱えた彼の身体が熱い――だが自分も徐々に煽られて熱くなって行くのも事実だった。まるで延焼のようだ。佐助は、ふふ、と口の中で笑うと、顔を起こして軽く幸村の唇にキスをした。 咄嗟のキスに驚いて目を丸くする――それでなくても大きいのに、もっとまん丸になった瞳を覗き込んで言った。 「うん、俺、旦那が好きだ」 ――ぶわッ。 瞬間、これでもかという程に幸村の瞳から大粒の涙が溢れ出す。 「ざずげぇぇぇぇ――ッッ」 「だああああああ、鼻水垂れてるッッ!!!」 半端ない涙に逃げ腰になるが、しがみ付いてくる彼の身体を引き離すことは出来なかった。佐助は幸村をぎゅっと抱きしめると、こっそりと泣いた。 ――太陽を手に入れて、灼かれてもいいかと思った。 090601up |