Hot,warm,and sweet Christsmas:クリスマスのお話





 自宅に戻って着替えてしまうと、元親はどっかりとソファーに横になった。

「そんな処で寝ると風邪をひくぞ」
「う〜…久々の酒は回ったぁ」
「またぶり返したらどうするのだ」

 ぴょん、と元親の額の上に乗って元就が小さな手で、ぺちぺち、と元親の額を打つ。顔の上に乗り上げているので、調度元親の鼻は元就の丸っとしたお尻に押し潰されている。

 ――ぶらん。

「こ、これッ!我を吊り上げるとは…ッ」
「鼻の上に乗り上げるなよなぁ。息苦しいっての」

 はふ、と大きく息を吸い込みながら、元親は笑った。そしてごそごそとソファーの後ろに置いていた紙袋に手を伸ばす。
 その中には先程までのクリスマスパーティでのプレゼントが、ごろごろと入っていた。その中からひとつの袋を取り出した元親は、自分の胸の上に座る元就の前でプレゼント包装を解いていく。

 ――がさがさがさ。

「あ…――ッ」

 思わず元就が声を上げると、元親はにんまりと口元を弓形にした。

「ほら、お前が欲しいって言ってたの」

 元就の目の前に、彼が入るくらいの靴下がある。その靴下の中には沢山のお菓子が入っていたが、それも駄菓子などでなかった。

 ――マシュマロ、チョコレート、キャラメル。

 甘い、だが可愛くキャンディ包みされた其れを差し出しながら、元親は元就の前にそれを向けた。

「メリークリスマス、元就」
「――――…」
「ツリーにぶら下っている靴下が欲しいなんて、お前、可愛いこと言うからさ。もっと欲張ったものでも良かったのに」

 ふふふ、と元親は笑いながら赤と白のストライプの靴下を差し出した。ちゃんと編みこまれたそれを受け取ると、ぽわ、と元就は頬を染めていく。

「子どもっぽいと…嘲られるかと思ったのだが」

 ――嬉しい。

 小さく頷いた元就が、口元をきゅっと引き結んだ。照れて潤んでいく瞳を見つめながら、元親が満足気に元就の頭をなでていると、ばらばら、と元就は靴下の中身を取り出していく。

「おい、元就?中のもプレゼントなんだぜ?」
「わ、解っておるッ!」

 そう言いながらも、ぽいぽい、と元親の胸の上にお菓子をばら撒いていく元就は、すっかり靴下を空にしてしまった。

「お前、どれから食べようか観るつもりなんだろ?」

 ――俺もさ、袋菓子って一度必ず中身出しちまうんだよな。

 あはは、と笑いながらそんな事を言いつつ、元親は手だけを伸ばしてテレビのリモコンを手繰り寄せた。

「元親」

 ぱち、とテレビがつく音と共に元就が呼びかけてくる。テレビから視線をそらして元就に向けた瞬間、元親の動きが止まった。リモコンを床に落としてしまう。

「我からのプレゼントだ。受け取るがいい」
「――――ッ」

 目の前の元就は、先程元親があげた靴下の中に顔だけだして入っている。小さな手で、靴下の入り口を押さえて、ほわほわ、と頬を染めたままで此方を見入っている。

「してやられた…ッ」
「我自身がプレゼントよ!」

 きい、と自棄になりながら言う元就は、顔を徐々に靴下の中に隠してしまう。額に手を当てた元親は、次の瞬間にがばりと腹筋だけで起き上がると、靴下ごと元就を引き寄せて、ぐいぐいと彼の額を上げさせると、其処に向って、ちゅう、とキスを落としていった。
 その直後、元就の絶叫が響いたのは言うまでもない。











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