Hot,warm,and sweet Christsmas:イヴのお話 朝起きたら隣に居たのは等身大の幸村だった。 昨夜寝入る時には、うつ伏せになって、ぷうぷう、と寝息を立てていた小さな幸村が、今は佐助と同じ大きさになって――うつ伏せのままで眠っている。 ――神さま仏様…って、神さまだけでいいか。 ありがとう、ととりあえず手を合わせてから、佐助はほくそ笑んだ。カレンダーを観れば今日はイブだ。それに合わせて――正直、時期がずれてしまうのではと不安になりつつも、企んできた結果が今目の前にある。 眠っている幸村を通り越して部屋の真ん中で、簡易温室に包まれている鉢には、真っ赤な大輪の花が咲いているのが見える。 そっと手を伸ばして佐助は、柔らかい幸村の頬に唇を寄せた。 「ん…――」 「旦那、朝だよ」 「…――ッ?朝?」 がば、と幸村が起き上がった。そして「佐助殿を起さねばッ」と叫ぶ。だが次の瞬間、自分の変化に気付いたのか、幸村は小首を傾げた。 「お?」 「おはよ、旦那ぁ」 「おはようござる?…佐助殿、何やら目線が…」 「うん、夢じゃないよ」 くすくすと咽喉の奥で笑うと、佐助は飛び起きた幸村に腕を回してぎゅっと抱き寄せた。抱き寄せながら、腕に絡まる暖かさ――幸村の感触に、思わず吐息を漏らした。 「旦那ぁ」 甘えたな声を出しながら抱き寄せると、やっと状況が掴めて来たのか、幸村が腕をばたばたと動かし始めた。 「なななななんで、某…っ、咲いてる?」 ぐる、と自分の鉢を振り見てから幸村が驚いた声を上げた。だがそのままベッドの上で佐助が背中を押し込むと――縁に頭を落とす感じになりながら、幸村が自分の鉢に声を上げた。 「ささ佐助殿?これは…って、ん…――ッ、ちょ、待ってくだされ…」 「ゴメンね。俺様、どうしてもこの時期に旦那の隣を歩きたくてさ」 言いながら、ばさばさと幸村の足を開かせてその合間に身体を滑り込ませる。腕をつっぱりながら幸村が真っ赤になりながら、ええええ、と眼を見張った。 ――ほんとにごめん。 「いつもも可愛いんだけど…綺麗な旦那も見たかったの。花も、旦那そのものも」 「あ…――ッ」 ごそ、とむき出しになっている胸元に掌を滑らせながら、胸元の突起に指を絡める。すると、びくり、と肩を揺らして幸村が甘い声をはじき出した。 「しかし…今は、朝…」 「大丈夫。まだ時間はあるって。早起きしたし」 「そう、ではなく…」 ちゅ、と胸元の突起に唇を近づけると、はふ、と幸村が口元から声を漏らしながらも、耐えるように眉根を寄せた。そのまま手を彼の脇腹から、するりと下に滑らせて下肢の方へと向け始める。 ――ぐぐぐぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ 「――――ッッッ?」 「あ…、あう…」 途端に轟いた重低音に佐助が動きを止める。幸村の胸元に乗り上げながら顎先を彼にむけると、幸村は両手で自分の顔を覆っていた。耳まで真っ赤になっている。 「あのさ、今の、旦那のお腹の音?」 「うううう、某、腹が空いて」 ――だから待って下されと。 たじたじと幸村が指の合間から――今にも泣き出しそうな視線を送ってくる。拍子抜けして佐助はそのまま彼の胸元に倒れこみ、あははははは、と声を上げて笑った。 「ムード台無しッ!流石は旦那っ」 「うううう…」 「まあ、いいや。ふふふ…可愛いね、旦那」 耳元に囁きながら幸村を抱き起こすと、顔を覆っている彼の手首を掴んで引き剥がす。そしてゆっくりと幸村の唇に触れながら、彼の肌の感触を掌で感じていく。 「今日はイブだからさ、皆でご飯だよ」 「解っております…」 とろんと瞳を潤ませて幸村が唇を濡らす。指先で彼の下唇を拭ってから、皆を驚かせてあげようよ、と幸村に言うと、彼は少しだけ困惑を見せながらも、はにかむように笑んで頷いていった。 了 →クリスマスのお話に続く 091225/100101up |